第61章 自分を自分で 後半
相葉視点
優しい風と、ユーカリの香りが俺の鼻をくすぐる。
N「ここが…」
ニノの声が聞こえた。
(あ!ニノの声だ!)
少しモヤがかかっていたけど感覚の赴くまま真っ直ぐ飛むと
〝 I was waiting 〟と 優しい声が聞こえてきた。
(あ!!この声 知ってる!)
その声のする方にスピードMAXで飛んでいく。
キラキラ虹色に輝く大きな岩の前にメンバーの姿を見つけた。
潤ちゃんの隣にニノ、翔ちゃん大ちゃんそして‘俺’が立っていた。
(あ!俺だ!)
自分を見つけた喜びを爆発させ、自分に抱き付こうと‘俺’の所に急ぐ。
{キギスの同志 やっと 来たのか!}
ダブル潤ちゃんをフワフワの尻尾で包み込んでいるモモちゃんが俺を見て、少しだけ牙を見せる。
{どうせ 飛ばされて 迷子になっておったのだろう?}
モモちゃんが舌をちょっとだけ出してハッハッと息をする。
(モモちゃんが笑っている!いい事だけど。食べられそう)
ニコニコモモちゃんの機嫌を取りながら‘俺’の体にすり寄る。
{器に 触れるでないぞ!!}
モモちゃんの鋭い目を俺を射抜く。
(ヒッ!さわってないよ!! 怖いよぉぉ)
〝 The new blaze which budded for you. 〟
綺麗な岩からの英語のメッセージを聞いている‘俺’を観察する。
‘俺’はポカァっと口を開けている。
(英語…早い…もうちょっとゆっくり言ってほしい…)
ニノが『日本語にして!!』と叫んだ。
(えぇー お願いできるの!!ニノぉズルイよぉ
えーっと俺も…できれば… 日本語で…)
手を合わせる。
〝 … … … on a flower〟
〝祝福を与える〟
声が日本語になった。
‘俺’の目の前にキラキラした輝きが集まってきた。
(きれぇ…)
輝きの一つ一つにそれぞれに色がある。
俺の周りを少しだけ舞ったあと、サラサラ流れていく。
‘俺’は両手を広げてその輝きを掌いっぱいに乗せ、大事そうに胸の前まで 持ってきた。
輝きが一つの花になる。
〝その花を身に着け 宴にくるがよい〟
A「この花を身に着けて…かぁ」
その花をそっと持ち上げる‘俺’
(俺の『嵐の花』だよ)