第59章 迷子のぼっちゃん
相葉視点
「落ちるぅ」
バタバタ手足を動かすと、不意に背中をクッと引っ張られ落下している感覚はなくなった。
そして、両手両足がブランとなっている。
(なにかに引っかかった?でも、どうしよう…)
一瞬の安堵の次に沢山の不安が溢れてきた。
{しっかりしなされ!}
背中側から聞いたことのある声が聞こえた。
(え!)
振り向きたいけど、この体制では振り返ることができない。
{まったく 坊ちゃんは もう少し 周りの方からの注意事項に従っていただかないと、本当に 世界の果てまで 飛ばされますよ?}
頭の上に感じる重さ。
(何か乗った?)
頭の上に手を持っていく。
{『時間軸が違うので「声」を出すな』とメネフネの民に言われましたよね?}
とがった何かで、手をガリガリかかれる。
「っ!」
{声は控える!!}
厳しい声が耳にキーンとさせる。
(は…はい…)
心で返事する。
{よろしい}
頭のガリガリが無くなった。
(あの? キミ なに?)
手を頭の上に伸ばすと鳥?らしき塊があった。
{貴方様の護役(もりやく)ですよ 坊ちゃん}
(俺の?日翅ちゃん?)
{私は本郷に属しておりません。純粋に雅紀様に仕える護役です}
(えーそんなの知らない)
{ええ 公になっておりませんので}
(そうなの?どうして?)
{雅紀さまの知らぬ所で決まってます}
(なんか ヤな感じ)
{あなた様の立場が あまりよろしくないのは、ご自身が一番お分かりでしょ?}
(ぅ うん…)
{なので 公にはできないことが 多いのです ご理解ください}
(そっか なら 俺らの敵じゃないんだね?)
{『ら』なのですね}
(そうだよ♪)
{もちろんでございます が 私はあなた様しかお守りしませんよ}
(いいよ♪俺が他は守るから🎶)
{雲を見つけました どうぞ お乗りください}
ふかふか浮いて近づいて来る雲に足を乗せる。
(ありがとう!!)
足元がしっかりしたから、振り返った。
(あれ?いない?)
{雅紀様 どうぞ お体大事に}
声だけ聞こえる。
(ちょっと!!君は誰なの?名前くらい教えてよ!!)
周りを見回して、声の主を探すけど、さっき触った位の鳥は飛んでいなかった。