第57章 自分を自分で 前半
相葉視点
一人乗りの雲で地上に降りていくと「いけばわかる」とチーフが木々の中を指さしていた。
ユーカリとヤシの木が風に揺れている。
A「はーい!」
M「いってきます」
‘俺’は潤ちゃんと肩を組んでチーフが指さす方に歩いて行く。
(ふふぅん 俺ってあんな感じなんだ…
自分が動いているのを見るってやっぱり変な感じぃ)
潤ちゃんと‘俺’の後頭部をみながら進む。
歩く‘俺たち’の服がキラキラ輝く布に変わっていく。
(あれは 天の羽衣(あまのはごろも)じゃん…ハワイにもあるんだ…)
少しずつ歩いている足元が輝いて‘俺たち’が昇ってきた。
「まっすぐ歩いていたつもりだったけど…登ってたんだね…」
誰かに言ったつもりはないけど、口から言葉が出る。
{おいしそうな…}
後ろから誰かに声をかけられた。
(?)
声の方に体を向けるが誰もいない。
(気のせい?女の子の声だったような…)
「ねー今、女の子居なかった?」
側にいたカズに問いかける。
(メネフネって女の子もいるのかな?)
すぐに返してくれる カズからの返事がない
(あれ?聞こえてなかった?それとも 誰かと話してる?)
カズがいたはずの方に体を向ける。
(え!どういう事?)
誰もいない。
居たはずの雲に乗ったメンバーも 歩いて昇ってた‘俺たち’もいない。
あるのは無限に広がる緑色の草原
(ここどこだ?)
草原に生えている細い真っ直ぐの草が風に揺れている。
(カヤ?ハワイに茅が生えてるんだ…)
サラサラと草が擦れる音が聞こえる。
(いい音だな…心地いい…)
風に乗ってユーカリの爽快な香りもしてきた。
(すぅーーー いい匂い♪ ユーカリだな…)
ちょっとだけ、ココを堪能した。
(あ!だめじゃん!!みんなと一緒にいなきゃ!!)
「おーい!!」
声を出して、呼びかける。誰からも返事はない。
(俺って もしかして 迷子?
でも、さっきまで一緒だったし 歩いてなし?
振り向いただけで、みんなぁいないって…)
「ニノぉ 翔ちゃぁん 松じゅぅん リぃだぁあ どーこぉぉーーー」
思いっきり叫んだ ら 真っ白の霧に包まれ、足元の雲がなくなっていた。
(あ!落ちる!)
体がガクンと下降し始まる。