第57章 自分を自分で 前半
二宮視点
雲に乗ったままゆっくり飛んでいると‘俺’がコッチを見て、睨んだ。
(んぅ 気づいたか?)
雲にしゃがむ俺。
N「じゃ、さっさと行きましょ?」
‘俺’が大野さんの背中を押して歩き出した。
チーフ「場所はいけばわかる…」
少し心配そうな顔で言うチーフ。
(こん時のチーフの顔 こうやってマジマジ見るのって新鮮だぁ)
チーフの顔を覗きこむ俺。
A「はーい!」
M「いってきます」
マー君と潤くんが動き出す。
なかなか動かない大野さんを‘俺’が背中を押しながら動き出す。
翔さんはみんなが動き出してから歩き出す。
チーフが頭を深々と下げた。
(なんだよ…そんな事 するなよ 確かにチーフ…
頭を振る。
ぶっちゃんは翔ちゃんの従者だったかもしれない。
でもさ もう そんな時代じゃ…)
{和也様?皆さんに置いて行かれますよ?}
お嬢が俺の肩に上ってきた。
≪お嬢…俺の方に来たのぉ?≫
{今宵は和也様のお傍にいさせてください♡}
≪仕方がないなぁ≫
お嬢の頭を優しく撫ぜる。
雲上で立ち上がって、雲を動かす。
ゆっくり歩いている‘俺たち’に沢山の小さな精霊たちが集まって布へ変わっていく。
(雲に乗ってる俺がタキシード。
肉体の‘俺’はトガ。
逆の様な…
器の方がタキシードの方がいいだろうに…)
{急拵えとはいえ…もう少し御召し物に華やかさを…}
ブツブツ文句を言うお嬢。
≪あれは、あれで、正装なんだよ≫
{そうなんですかぁ?和也様にはもっと釣り合うお召し物がぁ}
≪はいはい
お嬢好みの衣装を今度のコンサートで着るから、それまでのお・た・の・し・み♪≫
{はーい}
俺の頬に擦りつくお嬢。
I was waiting
The route which isn't
英語の‘声’が聞こえてきた。
その声のする方に行くと‘俺たち’が虹色に輝く魂(マナ)を見上げていた。
≪日本語にして!!≫
生意気な‘俺の声’が聞こえた。
少しだけ周りが揺れると、マナの声が理解しやすい言語に変わった。
(俺って、やっぱ生意気なだなぁ…)
自分の行動に苦笑する。