第55章 虹の上から 見る
大野視点
S「あ!!」
翔くんが大きな声で叫ぶ。
A「え!なに!」
N「なに!」
M「なに!!」
三人が同時に翔くんを見る。
「どうしたの!!」
翔くんの顔が見えるように覗き込む。
翔くんは、足下を見て、目を見開いている。
足元を確認すると虹の輝きの間から、下に広がる赤い大地が見えた。
「翔くん!下みちゃダメ!」
慌てて 翔ちゃんの顔に手を持っている。
S「智くん…見えない…」
「下 見たら、足すくむよ!」
(ここけっこう高いよぉ)
下を良く見ると、黒い車から人が出てきている。
S「いや、それは大丈夫。みんなと手繋いでるから…」
ギュッと俺の手を握ってくれた。
S「じゃなくて!智くん 下 見て、俺らがいる…」
下を指差す翔くん。
(うん。見えてる…あれは昼間の俺たちだね…)
M「あぁホントだ!俺がいる!」
虹の上から下を覗きこむ松潤。
{どうなされました?}
先導している子が声をかけてきた。
≪問題ない。道を進めてくれ!≫
翔くんが‘声’を使った。
(翔くん…ここでその‘声’使うと…)
翔くんの着ている服の裾が形態を変えつつある。
「ごめん!」
思いっきり大きな声を上げて、みんなの意思を俺に集める。
(翔ちゃんを見ないで!)
グッと翔くんを抱き寄せる。
「下に自分たち見つけちゃって、足が止まったの!」
(そう そうだよ 足が止まっただけ)
「すぐ出発するから!!」
先導の子に‘普通の声’で言う。
{側に下りますか?}
先導の子が赤い大地を指さす。
A「行けるの?」
相葉ちゃんが先導の子に聞いている。
(ナイス 相葉ちゃん!)
{はい ですが、コチラと時間軸が異なりますゆえ、声掛けはお止めください}
先導の子がニコッと笑った。
「じゃ!行ってみようよ!」
(ちょっと ここから離れたほうが良い!)
A「オッケイ♪」
相葉ちゃんが同調してくれた。
N「あ!ちょっと…」
ニノがよろっと体が揺れる。
相葉ちゃんがニノと松潤を引いてくれる。
だから、おいらも翔ちゃんを引っ張る。
ふわっと浮いた状態で、ゆっくり降りていく。
(ちょっと 寄り道しよう!!)