第46章 見守る者
猴の宮(理解者)視点
O&A「さぁーレッツゴー♡」
S「オーー」
五人が手を繋いで歩き出した。
東屋の屋根の上でお嬢と一緒にその光景を眺めていた。
(あのような場所で…)
ショウが植えた木々の影に、その背中を優しく見守る桃木を見つけた。
『桃木。』
屋根からふらりと飛び下り、桃木の前に立った。
桃『あ、宮様』
両手を重て、首部を下げる桃木。
(相変わらず…硬いのう…)
『久しいな…』
桃『はい、ご機嫌がよろしいようで…』
頭を上げない桃木。
『当たり前だ!こうやって…主と…』
(やっと…話ができる…)
桃『ああ、泣かないでください』
アタフタして近づいてきた桃木。
『泣いてなどおらん!』
頬に感じる水滴を掌で擦る。
桃『そうですか…では、そう言う事にしましょう』
ふふっと笑う桃木。
『ふん。』
(笑うなよ…)
猿の“お嬢”が桃木の方に走って行く。
『我(わ)は、御仁と桃木の再開を拝みたかった』
桃木に今の気持ちを告げる。
桃『悟はもう、智殿です… 私は、これでいいのですよ…』
ごまかすように、猿の“お嬢”の頭を撫ぜる桃木。
『ふん、主が言うなら、構わないが… サトシの中の悟は、待っていたぞ…』
桃『そうですか… でも、近づけません…
今宵は、花と虹の精霊様の加護の奇跡にしかありません…』
『主は(心の言葉を口にできぬ。本当に)難儀なヤツだ…』
(今世を生きる あの者達は 我や主のような道を選ばなかった のが 救いだ…)