第41章 秘密の中庭 マシラと大野と松本
松本視点
扉をくぐって中庭にでると、誰かだこっちを見ている。
(ふたり??)
小走りで近づくと、やっぱり人がこっちを見ている。
「あれ?」
(大野さん…とニノ? ここでも、攻め衣装か?)
『な~んだ 犬かよ!』
俺の“もも”を指さしながら、明らかに期待外れ的な声で落胆するニノ。
「オイ!ももは犬じゃねぇ。狼だ!」
“もも”を犬扱いされて、ニノに文句を言う。
『我にとったら、山犬にしか…ないのですよ』
ニノがフワッと浮くと、そのまま大野さんの背中にヒタッとくっ付く。
(浮いた!)
「え…」
不覚にも固まってしまった。
背中にくっついたニノを困った顔で見ている大野さん。
(リーダーが警戒してないから…敵ではないはず…
いつもなら、翔くんが説明に飛んできてくれるのに、今はまだ来ていない
だから、自分で説明を求めいないと…
あ…のさ…)
「ニノじゃねーの?」
やっとの思いで、声を出す。
O「この人はね…」
こまった顔の大野さんが俺に説明をしようと動き出した。
(おしえて…)
大野さんの方に体を寄せよと動く。
{潤さま}
その間を取るように、“もも”が俺の前に割って入ってきた。
「もも…」
{この方 御岳帝(みたけてい)御子『猴(ましら)の宮』様でございます}
紫紺色の瞳が真っ直ぐ俺を見ている。
(みたけ…その名前聞き覚えがある
ニノの側で輝いている人が見えた事がある…
リーダーに聞いたことがある…)
頭の中で情報を整理している。
『まだ気づかぬか?』
リーダーの背中から顔だけ出して、こちらを伺うニノに似た少年。
「ニノの宮様?」
情報を繋ぎ合わせながら、言葉にする。
宮『そうだ!」
パッと嬉しそうな顔になる宮様。
(なんだか、幼くなってないか?)
宮「高貴な我を、崇(あが)めよ 犬!!』
フンっと顎を突き上げ、大野さんの肩越しから、声を上げる。
その言葉で、ももが宮様に首部(こうべ)を下げる。
宮『良い子だ』
気を良くしたのか、宮様は大野さんの背中からするりと出てきて、ももの横に立つ。
宮『主も見習えぇ』
そして、扇子を俺に向けてニヤリと笑った。
(なんだ!この態度…ガキじゃんか!!)