第39章 器に休息を 花と共に
桃『あーそうだね。こうやって話したことなかったね…』
うんうんっと一人で納得している。
いつの間にか、目の前までやって来て、俺の肩をポンポンと触た桃木さん
肩を叩かれた感覚で、色々な記憶がよみがえる。
(この、感覚…知っている…
そうだ…あれだ…… 俺の後ろに…
なにか困った事や、悩んだ時とか…
気配だけ感じていた…背中を押す やさしさ…)
{この人はね『桃木 祥太郎』(もものき の しょうたろう)様
毛野(けぬ)国の土地主のご子息様よ}
いきなり、桔梗が説明する。
(けぬ?けぬ…)
桃『見つめられると、さすがに、照れるな…』
桃木さんが少し顔を赤く染める。
(なんだろう…敵意は感じないし…
よく見ると、父さんみたいな感じ…
声だって…ちょっと…似てる…)
桃『よかった。警戒は解いてくれたね♪』
桃木さんが微笑んでいる。
{で、王子の前世(まえよ)のお方よ}
俺の額に一蹴りしてきた。
「わ!危ないな…」
蹴りをよける俺。
{頭の固い王子には、蹴りの一つでも入れないと、回転しないわ!!}
何度も蹴りを向けてくる桔梗。
「だ、だから…危ないって!」
その蹴りを素早くよけ続ける俺。
桃『はは、放埒(はうらつ)した精霊様だ』
お腹のあたりをポンポン叩きながら笑っている。
「ほら。笑われるだろ!!」
{王子がヘタレなのは本当の事でしょ?
攻撃を受ける覚悟なんてないんだから!!}
「覚悟もナニも、攻撃を受けたがるヤツはマゾかバカだぞ!!」
桃『はははは [性的倒錯者]とは…面白いことを言う!!』
ん?
「桔梗!なんで、この人の名前知っているんだよ!!」
桔梗に向かって声をあげる。
{ずーっと、王子の傍にいたからね♪}
桔梗は桃木さんの方に逃げるように飛んでいく。
桃木さんが、ほほ笑みながら掌を広げる。
平然とその掌の上に降り立つ桔梗。
「いっ!いつから??」
{いぃぃつも、寄り添っていただいてたわよ}
(寄り添ってる?俺に?)
一度確認するように見る。
桃『同じ魂の<先>と<後>なのだから…』
「先と後?」
その言葉の意図が分からない。