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虹と花とキミ達と 1 《気象系》

第39章 器に休息を 花と共に


「ありがとう…ほんと…こんな…俺の側にいてくれて…」
頬を流れ落ちる涙。

{泣き虫だね…}
 心配そうな桔梗。

「昔からだよ…」
ゴシゴシ手の甲で目を押さえる。


「俺は、ちゃんとみんなの為になっているのかな?って考えてる…」


急に決まったデビューの話

(色々 あったなぁ…)

公式発言できない 事もたくさんある。

(あの時は、ネェも必死だったし…
 俺の我儘を聞いてもらえたし…

 でも
 巻き込んでしまった皆には、本当に悪い事したと思う…)

小さく息を吐く。

(だから…俺は、どんな、力だって使ってでも…みんながキチンと歩める“道”を切り開いて行かなきゃ…)



『キミは頑張ってるよ』
 急に、人の声が耳に飛び込んできた。


その声がした方を向くと、俺によく似た男が立っていた。


「だ!誰だ!!」
慌てて立ち上がる。

(今まで、いなかった はず…)


「ここは俺の部屋だぞ!いつ!入ってきた! てか、いつから部屋に居る!!」
言葉をドンドン出して周りを確認する。



 確認できる人は目の前の人だけ。


(足があるから…幽霊じゃないよね…)


 俺と同じくらいの背丈で 古風な衣装を着た男性が微笑んでいる。


男性が自分の顔に見えてきたから(あれ?鏡?)脳内で勝手に鏡に映った自分ではないかと考え始める俺。


男『鏡では、ないよ』
 男性がふふっと笑いながら頭を振る。


「え?なんで、わかったの?」
考えていた事を言い当てられた。


男『なぜ?長い付き合いだからだろうか?』
 男性は首を傾げながら、答える。


(長い付き合い? し、知らないぞ…)



男『そんな顔しないでよ…』
 苦笑しながらゆっくり男性が近づいて来る。


「だから…」
身構えながら間合いを取り、退路確認する。


{ふふ。王子のアタフタするの いつ見ても 可愛い!}
 桔梗がクスクス笑いながら周りを飛ぶ。


「かわいいって言うぅな!!」
テンパっているのは分かっている。
でも、こういう事今までなかったから、どうしていいのか わからない。


{桃木殿

 王子とは初 顔合わせでしょ?グイグイ行くと逃げるよ}
 桔梗が俺を交互に見ながら男性に言っている。


(モモノキって言う名前なんだ…)
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