第38章 器に休息を 相葉と松本
松本視点
廊下に出た。
アイボリーの廊下を歩きながら、相葉くんの背中を思い出す。
(だいぶ…良くなったのかな…)
知っていた。でも、触れてこなかった相葉くんの背中
(翔くんが、いつも側にいたから…俺の出番なかっただけだけど…)
急に 物凄く、寂しくなった。
立ち止ってしまうと身動きが取れなくなりそうで、
急いで、自分の部屋に走る。
足元を照らす電気だけ付けて、部屋の中に入って行く。
「はぁー」
ため息をつきながら、ベッドに座る。
俺の知らない所で、みんな動いている。
知っている。
みんなが、みんなで、ココを守っている。
(智さんも…翔くんも…雅紀も…和も…もっと俺に話してくれよ…)
「てか、一番話さない『俺』に言われたくないか?」
独り言が一人の部屋に消えていく。
ボフッとベッドに仰向けに倒れる。
天井の電気がユラユラ滲む。
(俺の素直な気持ちを、口にしたら…俺はココにいれるだろうか…)
「俺のこの『気持ち』は、どこに向けたらいいんだ…」
{ボスのお心次第です}
いきなり俺の顔をペロッと“もも”になめられた。
「や、やめろよ」
“もも”の顔を押し退ける
「『もも』勝手に出てくんなよ…」
ふたたび、ベッドに座る形になって“もも”の方に体を向ける。
{もうすぐ、お使者が来ます}
“もも”がお座りをして俺を見ている。
「そうか…なら、ちゃんと寝ないとなぁ」
ベッドの布団の中に潜り込む。
{ボス お休みなさいませ}
鼻がカーペットまで着くほど首部を下げる“もも”。
「ああ、後で一緒に遊ぼうな♪」
布団から手を出して“もも”の頭を撫ぜる。
{潤さま 今宵はぜひ、皆様とお楽しみください…}
「今宵の宴は俺はみんなと楽しみたい♪勿論お前も、雅紀の猿ともな」
{さようですか…では、ぼーる持っていっていいですか?}
「いいよ♪なんなら、お菓子も持っていこうよぉ…」
布団の中で、明日の遠足を楽しみにしている小学生な会話をしている。