第38章 器に休息を 相葉と松本
相葉視点
自分の部屋に帰って来たのに、出迎えられて、行き場を失ってしまった手を動かしながら中に入る。
M「ドアが勝手に空いてビックリしたか?」
潤ちゃんが笑いながら声を掛けてきた。
「うん。なんで、待っててくれたの?」
振り向いて、思った事をそのまま言う。
M「いないと、部屋に入れないだろ?」
口角を上げながら部屋のカードを指差す潤ちゃん。
「あ、カード」(持って出てなかった…)
M「ね?」
(うん。納得)
「潤ちゃんがいないと、部屋に入れなくなってたね?」
M「フロア内遭難してたね」
肩を上下しながら笑っている潤ちゃん。
「そうだね。ありがとう」
潤ちゃんにお礼を言う。
潤ちゃんがとっても優しい顔をした。
(ふふ。潤ちゃんが笑ってる…
皆が笑っていれば、俺はなんでもできる気がする
たとえ、自分の立場を悪くしても、メンバーだけは守って見せる)
さっきまで、ウイスキーを飲んでいたソファーに行く。
(誰もいない?)
「ねー?翔ちゃんたちは?」
潤ちゃんに聞く為に走る。
M「もう、部屋帰ったよ」
潤ちゃんはセッセとお皿を拭いていた。
「そうなんだ…」
(潤ちゃんに、一人で片付けさせちゃったね…ごめん…)
M「まだ飲み足らない?」
ワゴンに乗っている氷バケツの中たらビールを一本引き出す潤ちゃん。
「あービールはもういい…」
(深酒、禁止されてる…)
M「そう?じゃ…こっちどうぞ!」
水の入った500のペットボトルを差し出す潤ちゃん。
(さすが!!分かってるね♡)
ペットボトルを受け取る。
「冷えてる!ありがとう」
ペットボトルの蓋を回して、勢いよく口に流し込む。
(冷えた水♪最高♪
あ! リハの着替え…用意しないと…)
ペットボトルを銜えたまま荷物の方に進む。
(明日…ニノが怒るね…)
自分の鞄から、明日着るTシャツと下着を袋に入れる。
(明日…雨かな…)
さっきから、背中が熱い。
服を脱ぎたい気分だ。
(でも…脱ぐのは ねぇ)
キッチンを見ると、潤ちゃんがセッセとお皿を洗っている。
(手伝った方がいいのかも…手伝ってほしい時は言うし…)