第37章 心 同じ 器 すれ違う
櫻井視点
智くんに体を引っ張られて体制がおかしくなる。
(うわ!!)
智くんのベッドに俺が押し倒してる形になった。
(誰かに見られたら、ヤバいよ!この状態!!)
O「きゃー♡ 翔ちゃんとベッドイン!!」
智くんがふざけた声をあげる。
(智くん!!そんな恥ずかしい事を言わないで!!)
「はいはい…」
冷静になろうと、体を起こす。
智くんの顔が真っ赤になってる。
(お酒入ってますよね…)
「お布団入ろうね♪」
その顔を見なかったことにして、掛け布団に手を伸ばす。
(今のあなたに、小言を言っても、覚えてないだろうし、
無駄なのはわかってますけど、
俺たち30過ぎた大人なんだからさ…シラフじゃない時ふざけないでよ…)
O「やだ…もっと、一緒に…」
智くんが俺の腕を掴む。
(もう…俺も部屋に…)
抗議のつもりで、智くんの顔を見る。
智くんがジーっと潤んだ瞳で見ている。
(さ、智く…ん…)
自分の理性がグラつくのが分かる。
目の前に大好きな人が、無防備に見つめてくる。
(やめてよ…そんな目で見ないで…)
グラつく理性に鞭を打つ。
「智くん…」
ふーっと息を吐いて、ベッドの横に座る。
智くんと同じ高さで見つめ返す。
「すぐに宴に行けるから…ね? 離して?」
冷静な声をキープしながら、そっと、智くんの腕を触る。
智くんの瞳が少し揺らいだ。
(お願い…離して…じゃないと、俺も男だよ…)
智くんのふわふわの髪の毛をさわっている。
(俺は、あなたを… あなたの傍にって願ってから…)
O「宴は、一緒に居てくれる?」
蚊の鳴くような小さな声が聞こえる。
「うん。一緒に居るよ!」
唇が震えているのを必死に隠して言う。
O「わかった…」
捕まえれていた手の感触が和らいだ。
(離してくれた……ちょっと、寂しい…)
「智く…ん…」
返事がないから、そっと顔を近づけた。
(寝てる…)
智くんの口元から規則的な息遣いがする。
布団から出ている手をそっと布団の中に入れてベッドから離れる。
「おやすみ…智くんの体… 俺も準備してくる
すぐあえるよ」
電気を消して、部屋から出だ。