第36章 小鬼と 御憑きと
大野視点
{wagakimi…}
足元に小鬼たちがニコニコ見上げている。
《ふふ。モウチョットモグッテテ》
「たぶん、どっちかが来てくれるから…」
(翔ちゃんだったら嬉しいなぁ)
相葉ちゃんの部屋の扉を開けて廊下で待っている。
廊下。誰も人はいない。
でも沢山の獣霊や植物の精霊が行ったり来たりしている。
(今日は、にぎやかな宴になるみたいだね♪)
{wagakimi ショウsamaga koraremasu}
俺の小鬼たちで、一番髭が長い爺さんが言う。
《翔ちゃん!やった!!》
ウキウキしながら、翔くんが出てくるのを待っている。
なかなか出てこない…
(何してるの?早くおいで…)
小鬼たちと一緒に部屋の中を覗く。
{気になるか?}
耳後ろから小鬼じゃない“声”が聞こえてきた。
小鬼たちは“声”に驚きいろんな所に潜って行く。
(ニノの御憑きだな…いきなり出てきたら、おいらの小鬼たちが驚くじゃないか…)
《アナタモ キニナルカラ、キタンデショ?》
振り向かずにニノの御憑きに返事をする。
{良いではないか、こうやって主を話がしたかった}
《モウスグ、ウタゲ デスヨ ナゼ イマ?》
{コッチに来た所で、主と我の立場は変わらぬ}
(そうかも…でもな…あなたが離れたら、和也はどうなるのさ…)
S「グーが飛ぶぞ!」
翔くんの低い声が聞こえる。
M「ご、ごめんなさい…」
松潤の慌てた声が聞こえる。
{もめているのかぇ?}
「ウウン。翔ちゃんガ遊んでるノ!」
{側にいなくても分かるのか?}
体を反転させ、声が聞こえた方に向かう。
もちろんそこには誰もいない。
「わかるよ!だって俺たち『仲良し』だもん!」
{そうかぁ}
“声”の気配が消えた。
{wagakimi…}
小鬼たちが心配そうに顔を出す。
《ダイジョウブ。アノ子ハ オイラノ 敵ジャナイ》
「翔ちゃ~ん♡」
(早く来て!みんなが待ち遠しいって!!)
S「はーい♪」
部屋の中から翔くんの声が飛んできた。
(面倒なモノ取っ払って、宴にいこうよぉ!!)