第35章 天邪鬼の器に休息を
二宮視点
「かずなり」
名前を呼ばれた気がして、
目を開けると、マー君の顔が見えた。
(わ!!)
驚いて、跳ね起きる。
マー君が何も言わず、俺の顔を見ている後頭部が見える。
(後頭部?あ…)
眼下にマー君と俺の躰が見える。
(意識体になってるのか…)
自分の状況を確認していると、
A「大ちゃんや翔ちゃんは良くて、俺はどうして、ダメなのさ?」
マー君が俺の顔を触り始める。
(おい!勝手に俺の躰を触るな!!)
思いっきり頭を叩く。
スカッと空振りする。
≪理解者!≫
俺はいつものように、理解者を呼んだ。
理解者が側にいないと、意識体の状態では、他人の肉体に攻撃は出来たない。
≪おい!どこにいるんだよ!!≫
理解者の気配は感じるが、傍にいない。
無抵抗の俺の体を触る手が震えているのが見えた。
(おい。マー君?何考えてる?)
何度も、マー君の頭を叩く俺。
もちろん、マー君の躰には当たらない。
≪理解者!!いい加減 俺の傍に来いよ!!≫
(お…おい!なに赤い顔してんだよ…
ま、まさかと思うけど、さっきのJの冗談を?
真に受けてないよな?
おい!
や、やめろ…)
マー君が俺の顔に顔を近づいていく。
≪バカやろう!!!≫
思いっきり叫んだ。
A「おやすみ」
俺の額にキスをして離れていく。
(へ、おでこ?)
マー君は、俺の躰から離れると、部屋の電気を消し、ドアが静かに閉めて出て行った。
真っ暗になった部屋に理解者の声が聞こえた。
{ジュンの意図した者には、マーはなれないだろうなぁ…}
≪どこ行っていた?≫
{御仁と少々雑談をしに…}
部屋の温度が下がった頃‘輝く扉’が現れた。
(先に行って、待っててやろう…早く来いよ)