第35章 天邪鬼の器に休息を
二宮視点
(眠い…体が重い…)
自分の部屋の前まで来た。
A「ねぇ?カード出して?」
マー君が手を出すから、ポケットの中のカードを出す。
「あ…うん」(開けて…)
マー君に扉を開けてもらう。
部屋に入ると真っ直ぐベッドにダイブする。
(もうだめ…眠い…)
A「あぁ…もう、そんな向きで寝たら…体に…」
マー君がそんな俺の体を軽々と抱き起す。
(抵抗する力も気力もありません)
A「ほら、もうちょっとだけ、起きてて…」
体の向きや、枕、クッションを体の周りにセットしてくれる。
(その細い体に、どこにそんな力あるんだよ…)
「いつも…すまないね(笑)」
布団の上で、手を小刻み震わせながら言う。
A「それはぁ言わない約束だろ?おっかさん(笑)」
マー君が掛け布団をフワッとかけながら笑う。
(乗ってくれると思ったよ…)
俺は自然と笑ってしまった。
マー君もふふっと笑ってくれた。
(あ…布団気持ちいぃ…)
かけてくれた布団の中にモゾモゾ沈んでいく。
(あ…でも、宴の事…話しておかなきゃ…)
「マー君…後で迎えに行くから…」
顔だけ、出してマー君に声を掛ける。
A「今日は独りで行けるよ」
緑色の花を首から下げている。
「そうか…祝福貰ったもんね…」
自分の頭にある花をそっと触る。
「私が手を引かなくても、扉…通れますね…
扉が来たときは、わーわー騒がず、向こうの言う通りにするんですよ」
マーくんは俺の方を見ながらニコニコしている。
「ちょっと、聞いてる?」
A「え?なに?」
「だから…迎えの扉の前では、声出したら…ダメだよ…」
(使者に迷惑だから…)
A「へーそうなんだ」
「そのぉ、反応が心配だよぉ」
布団の中に顔を再び隠す。
A「分かってるから…もう、寝なよ…」
優しく髪を撫ぜてくれるマー君。
「うん……」
俺の体は眠りに落ちていく。