第32章 兄を 兄に 弟が 弟の
櫻井視点
一人掛けのソファーで上下で見つめ合う雅紀と和也
チャチャを入れるのは、憚(はばか)った。
智くんと目があう。智くんがふふっと笑った。
(ふふ…あんな目をするのは、和也の事だけだもんなぁ)
N「良い加減に してくれません?」
和也の精一杯の強がりで、雅紀を強く押し付ける。
雅紀は何も言わず、するっと離れた。
N「はー、もう!バカ相手にするのは疲れます…」
座っている体制やクッシュンを大きな音を立てながら整えていく和也。
(ここからは、いいよね?)
「あらぁ、ちょっと照れてますぅ?」
智くんに合図する。
O「照れてますねぇ“かわいい”」
智くんが和也の顔をツンツン付きながら笑っている。
お酒とテレで体中赤くなっている和也が「あーうるさいな。おじさんに言われても、嬉しくないよ」と声を荒げる。
『おじさん言うなよ』をいうまでに
M「なに?その言い方!自分もその一人だよ?」
潤が混ざってきた。
N「私は『永遠の17歳です』ので、ご心配なくぅ」
潤に対して、滑舌がよくなる和也。
智くんが口をパクパクさせてニヤッと笑った。
(やりますか?)
ニヤッと笑って返した。
M「それまだ言う?てか、いつまで言うつもりなの?」
ニヤニヤの潤。
N「だから『永遠』です」
負けまいとする和也。
智くんが肩を回している。
(パッパ♪パパッパ…)
リズムを小さく手と肩で取って…
「ニ・ノ・は・まだぁ…十ぅ七ぁだからぁ~」
アカペラで歌いだす。
O「何かに、さそわれてぇ」
歌詞の続きを歌いだす智くん。
「あ・な・た・にぃ~さらわれてぇ」
雅紀を指さす俺。
O「センチメンタルゥ」
智くんが俺に目で合図する。
「〝ジャァニーズ〟」
たぶん、こうだと思う言葉を出した。
智くんが満足そうな顔で笑う。
「パッパ🎶 パッパ♪パパッパ♪♬ララ♬」
口でリズムを取る。
O「ララ♬」
前習えみたいな腕の形で手を軽く丸め小刻みに体を揺らしておどる。
M「ヒロミさーーん!!ココにダメな奴らがいますよ!!」
窓に向かって大きい声を上げる潤。
(来やしないよ!)
「パッパ🎶 パッパ♪パパッパ♪♬ララ♬!」
俺たち二人はこのリズムで全然違うダンスを踊っていた。