第30章 お兄ちゃんが
櫻井視点
智くんと昔の事話していると、ニノの『ヤダ』が聞こえた。
声のした方を向くと、一人がけのソファーに二人で座っている和也と雅紀をニヤニヤした顔でツッコミを入れる潤がいた。
(いつの間に、そっちに行ったの?)
O「けんか?」
心配そうな声を出す智くん。
「違うと思うよ?」
三人の内容を確認するつもりで、立ち上がった。
M「自意識過剰ってやつじゃね?」
A「それを言うなら、自信過剰じゃない?」
M「同じ意味だろ?」
「おいおい!?
(なんの話をしているか分からないけど)全然意味が違うよ」
話に割って入る。
カズがソファーに座って、膨れている。
(潤が和也に、自意識過剰って言ったんだな…
一応確認しておこう…)
「潤はニノにどういう意味でその言葉を使ったの?」
M「ニノがさ、自分で自分を『かわいい』って言うから…自意識過剰じゃね?っていったら」
A「だから、それを言うなら自信過剰だって…」
(なるほど、よくわかった)
はーっとため息がでた。
(まさか、こんな身近に、自意識過剰を自信過剰という意味で使っている人がいるなんて…)
潤を見る。
「いいか、潤」
M「あ、はい。」
潤が固まった。
隣で雅紀も固まっている。
「いい機会だから、座って」
潤が和也が座るソファーの下に座る。
「まず、潤が言った『自意識過剰』って言うのは『自意識』が『過剰』になっているって事!
その意味は、自分の外見や行動などが『他人からどう思われているか』などに、必要以上に注意をはらっている傾向がある事。
ひどくなると、対人関係のあらゆることが自分と関係しているような錯覚に陥り、相手の態度がすべて自分への反応であるかのような思い込みが生じる。
『誰かが自分の悪口を言っている気がする』って考え込んで『対人恐怖症』や『うつ病』という心の病になるかもってヤツだよ?」
M「そんな意味で言ってない…」
シュンとする潤。
「うん。分かってる
俺が思うに、潤が言いたいのは、自信がありすぎって事だよね?
それは雅紀が言った『自信過剰』の方だよ」
A「だから、言ったじゃん」
大きな顔をする雅紀。
(おい。雅紀…そう言う事言うと…潤の逆襲が後で来るぞ…)