第30章 お兄ちゃんが
二宮視点
薄くなるウイスキーをチビチビ飲みながら、楽しそうに話している四人を見ていた。
(はー。…体…重たい…痛くなりそう…)
体が思うように動かないから、ウイスキーの入ったグラスを持ったまま、ソファに移動した。
(あー…クッション欲しい…)
手を伸ばして、体とソファーの間にクッションを詰める。
チラッとソファの陰に隠しておいたポーチに目をやる。
(編集したヤツどうしよう…
翔さんの切り替えにと思って撮ってけど…今日はいらないね…
翔さんが別行動になったから、浜地に頼んでいた、隠し撮りを沢山したんだよね…
翔さんのコレクションに入れてほしくて…)
A「カズ♪」
マーくんが俺の座っているソファに割り込んできた。
「なんで、ココに座るんだよぉ!下に座れよぉ」
せっかくクッションも入れて、楽な体制にした所を死守しようともがく。
A「いいじゃん…よって!よってよぉ」
マー君が強引に入ってきた。
(もう…)
しぶしぶ体を動かして、マー君がギリギリ座るスペースを作る。
A「いぇーい。カズの横!!」
(これ…一応、1人掛けソファ一なんだよ。ちょっと大き目だから、座れるけど…狭い…)
マー君がクッションの位置をずらしていく。
だから、必然的に体が密着する。
(この距離感が近すぎるんだよ)
目の前でデレデレでお酒をつぎ合っている智さんと翔さんが見える。
(はー、嵐の年上三人の距離感って事なのかな…
距離感…
俺が、こんなに人とくっ付いているなんて、不思議だな…
嵐じゃ、なかったらこんなにくっ付いていなかったのかな?
15年前
気持ち悪くなった船で、望んでいない“オオゴト”から逃げたくて、日本に帰りたくて、逃走経路を模索していた…
知り合いがいない外国。それも島。
逃げ出しても帰れない。
だから、この人達にくっついていた。
ふふ。変なの…
こんな事考えるなんて、やっぱり俺。酔ってるわぁ)
横で、何か話しているマー君をぼーっと見ていた。