第28章 ウイスキーで乾杯
大野視点
キッチンの方から和也が無言でピッチャーを持って歩いてきた。
(ん?和也…どうした?)
表情が曇っている和也は、ふーっと息を吐いて、何事もなかったように、翔ちゃんに話しかけてきた。
N「ちゃんと食べましたか?」
M「食べたよ」
松潤が即答した。
(食べたって…唐揚げと生春巻きだけだろ?)
A「場所作ってくれてる♡」
ニコニコの相葉ちゃんがすぐ後ろに付いてきた。
(ん~和也から、一瞬 力の発動を感じた…ような気がしたんだけど…
なにか…あるのか…)
周りに気を配る。
S「バーテンダーのこだわり?」
翔ちゃんが普通に話している。
(大丈夫…だな…せっかく、五人で水入らずしているんだ…何かあったら、専属たちが対処してくれるはず…)
相葉ちゃんの周りに輝きが飛び始めた。
(相葉ちゃんのか?)
≪すまないが…まだ、五人で居たいんだ…席をはずしていてくれないか?≫
カズナリの声が聞こえた途端に、飛んでいる輝きが消えて行く。
≪…ココに蚊帳で囲って!≫
{……負担が多くなるぞ}
≪かまわないさ…≫
和也の回りから円を書くように網上のバリアーが拡がっていく。
(おいおい…本番前に、そんなに力…使ったら…)
M「パイナップル香るなんとも珍しいパニオロ・ウイスキーなのですぅ」
S「情報ありがとう🎶」
(松潤の説明終わったのか?聞いてなかった…)
和也がみんなの前にグラスを回していく。
俺のグラスを持ってきた時、
《あまり、力を使うと、しんどくなるぞ》
気にする和也の為に“声”で言う。
びっくりした顔で俺を見る和也。
少しだけ目が泳いで≪だまってください…≫口を動かさずに言う和也。
(器用なヤツ…)
和也は、何事もなかったようにグラスを持って松潤の方に行く。
A「では、まずは、トワイスアップで乾杯!」
相葉ちゃんがみんながグラスを持ったことを確認して声を上げる。
「「「「乾杯」」」」
グラスを軽く上にあげて、口を付ける。
「甘!」
口の中に広がるウイスキーの味とパイナップルみたいな香りと味。
(ハワイのお酒ですって感じだね…松潤の最近の好みはこんなのかな?)
松潤は口に入れてお酒を転がして味わっている。