第28章 ウイスキーで乾杯
二宮視点
A「場所作ってくれてる♡」
トレイに背の低いグラスを乗せてマー君がニコニコ笑って現れた。
マー君は自分の席の近くにトレイを置く。
「マー君。空のグラスならあるよ?」
テーブルのグラスを指さす。
A「うん。このグラスにトワイスアップ作るつもり」
五つ並んだ背の高いグラスを布巾で拭きながらチラチラ持ってきた背の低いグラスを見ているマー君。
「じゃ…なんで、違うグラス持ってきたの?」
A「やっぱりさ、氷があるからロックでも飲みたいでしょ?」
「それに氷入れちゃダメなの?」
今拭いているグラスを指さす。
A「ダメじゃないけど…
見た所ぉこれって“コリンズ・グラス”だと思う。
ビールはこーゆうグラスの方が飲みやすいけど、ウイスキーはねぇ…
やっぱ、それにあったグラスに注ぎたいなぁ」
マー君がニコッと笑ってグラスを拭く。
S「バーテンダーのこだわり?」
A「こだわりって言うより、そう習ったって感じかな?」
マー君が優しい声でウイスキーのグラスについて話している。
「ふーん」
(ちゃんと習得してるんだ…)
M「相葉くんが準備している間にこのウイスキーの説明させていただきます」
潤くんが翔さんのマネしてメモを取り出して『説明』をし始める。
S「よろしくお願いします!!」
ご機嫌な翔さんの合いの手が入る。
M「えーと…アルコール度数40度…」
(潤くんはいつまでも、翔さんを追っかけますね…)
説明している潤くんの横で、慣れた手つきで、グラスにトクトクとお酒を注ぐ。
(真剣な目… 綺麗な細い指…
優しくてちょっとバカな泣き虫は立派な大人になったね…
って褒めたのに…なぜに、泣きそうになるの?
お酒の香りで泣く?ほら、手!動かして)
「さっさと作らないと…」
マー君に小さく声をかける。
A「そうだね」
ふっと微笑したマー君。
周りに理解者とは違う輝きが飛び始める。
≪すまないが…まだ、五人で居たいんだ…席をはずしていてくれないか?≫
飛んでいる輝きが消えて行く。
≪……理解者…ココに蚊帳で囲って!≫
{カズナリの負担が多くなるぞ}
≪かまわないさ…だって、ここは安全だもん≫
たくさんの理解者達が現れ、俺の回りから円を書くように蚊帳を拡がっていく。