第3章 それぞれ歩幅を…
櫻井視点
翔専属「分かりません。
チーフが直接運転手に場所は言っているそうです。
本当は午前中に行く予定にしていた所だそうです」
「……午前中に…行きたかった所…」
(じゃ、僕と智くんがチーフの予定を崩したんだな…後で謝ろう…)
N「そんなスケジュール知らないよ」
ニノが話に入ってきた。
翔専属「はい。私も知りませんでした。
チーフによると五人だけじゃないとダメな所だそうです」
O「………」
何も言わない智くん。
(智くん…どうしたの?どうして…なにも言わないの…)
下を向いたまま一向に顔をあげようとしない智くんが気になる。
(『傍に来て…』って言ったら、来てくれるかな?)
“ 王子・・そろそろ決めない? ”
頭の中で弾けるように響く“彼女”の声…
(今はダメだ。
我慢だ… 側に入れるだけ…で…いい…)
メンバーを見回す。
潤がいて、和也がいて、雅紀がいる。
(温かいこの空気…)
そして、自由でいたい智くんがココにいる。
(きっと、今の興味はソッチにあるんだ…今は、言わないよ…言えないよ…)
自分の手を見つめる。
(俺自体が、嵐じゃないから…『傍に…』なんて言えない
今の俺なら、寄りかかるだけになりそうだ。
共倒れになりそう…
テリトリーに帰るまでは、気を張ってないと…)