第26章 伝える 留める
松本視点
「相葉くんに伝える事がある」
キッチンの冷凍庫の前に立って話し始める。
?が頭の上に出ている相葉くん。
「さっきね。ニノとちょっと話したんだけど…」
ニノというキーワードを出した途端、相葉くんの百面相が始まった。
「おいおい。俺まだ何も、話してないぞ?何考えて、百面相してるの?」
思わず苦笑してしまった。
A「あ…ごめん…」
シュンとなる相葉くん。
(たく…何考えてるんだよ…)
「俺さ、先にこっち来たじゃん?
皆が来るまでに、ある程度の雑務は終わらせておきたかったんだ…」
A「うん。それこっち着いて思ったよ」
「メンバー揃って、仕事してて気が付いたんだけど
ずっとニノがさ、お前を心配そうに見てて…
で、お前もニノを見てた…」
A「え?」
相葉くんが口を押えて驚いている。
(いつもの事だけどさ…でも)
「いつもと、ちょっと違うからさ…なんかあったのかなって…
お前がシャワーに入っている時に、聞き出したんだ。
色恋沙汰なら、お前が傍に居たら、絶対話さないと思ったから…」
ニシシっとワザと笑った。
A「いろこい?錦鯉?」
頭に?が出ている相葉くん。
「はは…(それってマジ…)
そしたらさ!思った以上にヘビーな話だったからさぁ びっくりしたよ」
冷凍庫からロック氷の袋を出す。
相葉くんが俺が言った『ベビーな話』のあたりで少し表情が曇ったけど、雰囲気の変化はない。
それより、アイスペールを戸棚とかから、探してしてくれた。
A「ヘビーだよ…
ニノがさ、話すなって言うから、俺もこの話触れないようにしてた…」
相葉くんがアイスペールと付属のトングを渡してくれた。
「そうだね。策士様の命令は絶対だもんね(相葉くんは!)」
冗談でもいって笑わそうとしたのに「うん」と答える相葉くん。
(納得済みなの?調教されてませんか?)
A「で、なにするのコレ…」
アイスペールを指さす相葉くん。
(お!話が変わる兆し!!)
「こんなのあるんだ!」
琥珀色の細いボトルをチラッと見せる。
A「なにそれ!!」
相葉くんの瞳がキラキラしている。
(いい感じに喰いつたね♪)