第26章 伝える 留める
N「チーフも最初は宥めてくれました。でも『イヤだ!家に帰る』って車飛び出しちゃって…」
S「帰ったの?」
泣きそうな目でおいらを見る翔ちゃん。
「ううん…」
頭をふる。
「(チーフに)直ぐ捕まって…一人で羽田からハワイに来た」
翔ちゃんの目を見て話せなかった。
S「そっか…」
翔ちゃんの声が小さくなる。
(里の事…翔くんに言って良いのか…わかんないし…)
N「空港に着いて、チーフと相談して、潤くんや他のスタッフにも、この人の“だだ”の事を伏せました」
ニノの声が聞こえる。
S「アンチ対策?」
返事の声は翔くん。
N「はい」
ニノ力強く返事をする。
(そうか…俺の“だだ”はアンチの餌になるんだ…
ちいふ…里のみんな…俺…嵐…で…)
「翔くん…」
口から溢れる。
顔をあげるとバッチリ翔ちゃんと目が合う。
翔くんは大きな瞳に小刻みに動かしていた。
「もし、おいらが…隠れたら……探してくれる?」
今の感情を言葉にしようと頑張るけど、うまく言葉にならなくて、翔くんから目を離した。
S「もちろん探しますよ」
一番欲しい、言葉が返えってきた。
嬉しいのに、体が口がうまく動かない。
おいらが動くまえに、翔くんがおいらを引き寄せ、抱き締めてくれた。
(暖かい…)
S「ごめんね…智くん…どうしても…外せなくて…」
翔ちゃんが震えている。
「翔くんは悪くないよ…
だって…翔くんが『必要だ』と思う事をしていたんでしょ?」
S「う、うん…」
翔ちゃんの声が泣きそうになってる。
(そんなにイヤなら、変わってあげるのに…)
和也の視線を感じる。
(和也が感づいた?)
S「どこに隠れてても探せる自信があります♡」
翔くんがワザとギュッと抱きしめて、おいらの頬に顔をスリスリしてきた。
(和也を安心させるためだね?乗った♪)
「そーなんだ♡今度、迎えに来てよ♪」
S「電話ください!すぐ行きます♡」
力強く答えてニコッと笑う翔ちゃん。
「わかった🎶」
(マジっぽいよ)
N「はいはい。」
うれしそうな目で飽きれ顔という器用な和也が見えた。
(和也。お前たちは絶対守ってみせる)