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虹と花とキミ達と 1 《気象系》

第26章 伝える 留める


 そしたら『いやだ!一緒に行かない!』って車の外まで聞こえる声で叫んだんです」
ワザと智さんの言った言葉を強調した。

「で、マー君が『一緒に行こう』って肩辺りを触ったら、パシンって…」
肩に手を持って行って肩を弾くジェスチャーをして見せる。


S「それで、雅紀が泣いたんだ…」

「ええ
 まぁ マー君もいきなり“ワーっ”ては泣きませんでしたけど…
 とにかく、昨日のこの人は“変”でした!!」


 翔さんは目を閉じふうっと息をはいて、智さんの方を向く。


O「俺は あの時『後で行く』も言ったじゃん」
 智さんが頭を上げずに言う。


N「確かに、言いましたけど…
 『一緒に行かない』と『さわるな』で、マー君は泣いたんですよ!
  そこ!ちゃんと翔さんに伝えないと!」


O「ご、ごめん…」
 顔を上げない智さん。

「チーフも最初は宥めてくれました。でも『イヤだ!家に帰る』って車飛び出しちゃって…」

S「帰ったの?」

O「ううん…直ぐ捕まって…一人で羽田からハワイに来た」
 頭を振って答える智さん。


S「そっか…」
 表情が曇る翔さん。

「翔さん?」(なぜ、あなたの表情が曇る?ここは、怒る所でしょ?)

S「続けて…」
 何か考えている翔さんが俺に指示を出す。

(あぁはい…)
「空港に着いて、チーフと相談して、潤くんや他のスタッフにも、この人の“だだ”の事を伏せました」

S「アンチ対策?」

「はい」
一回頭を縦に振る。

(これで、お叱りはなくなったかな♪)

O「翔くん…」
 智さんがオズオズと顔を上げて翔さんを見る。

 翔さんも智さんを見ている。


O「もし、おいらが…隠れたら……探してくれる?」
 不安そうな智さんの声が聞こえる。


S「もちろん探しますよ」
 智くんを抱きしめる翔さん。


 しっかり抱き合って動かない二人。


S「どこに隠れてても探せる自信があります♡」
 智さんに顔をスリスリする翔さん。


O「そーなんだ♡今度、迎えに来てよ♪」
 智さんが嬉しそうに言う。

S「電話ください!すぐ行きます♡」
 力強く答えてニコッと笑う翔さん。

O「わかった🎶」
 ふにゃっと柔らかく笑う智くん。


「はいはい。」
(二人の世界に入らないでください)
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