第25章 次兄の心情
『彼女が一緒に居たいって言うから、一緒に居た』
この言葉を言えれば、三人の心をグラつかせなかった…
でも、言えないんだ。
言ってしまえば、この難件を負担したがる…
『楽しさは5倍 苦しさは五分の一』いい言葉だと思う。
思うからこそ、絶対この苦しさは四人には渡せない。
俺だけでいいんだ。桔梗の俺だけで…
O「翔くん…」
智くんが俺を呼ぶ。
(はい)
智くんの方を向くと、オズオズと顔を上げ始めている智くんがいた。
O「もし、おいらが…隠れたら……探してくれる?」
顔はあがったけど、目が下を向いている智くん。
「もちろん探しますよ」
(あなたがいないと俺じゃなくなる)
不安そうな智くんを抱きしめる。
「ごめんね…智くん…どうしても…外せなくて…」
O「翔くんは悪くないよ…
だって…翔くんが『必要だ』と思う事をしていたんでしょ?」
「う、うん…」
和也の視線を感じる。
「どこに隠れてても探せる自信があります♡」
ギュッと抱きしめて、ワザとオーバーに顔をスリスリする。
O「そーなんだ♡今度、迎えに来てよ♪」
智くんが嬉しそうに言う。
「電話ください!すぐ行きます♡」
力強く答えてニコッと笑う。
O「わかった🎶」
ふにゃっと柔らかく笑う智くん。
N「はいはい。」
あきれ顔の和也。でも、どこかうれしそう。
A「みんな!!」
雅紀の元気な声がテーブルに飛んできた。
N「やかましい!!何事ですか!!」
立ち上がって雅紀の方に声を出す和也。
(あらあら、照れ隠しですか?)