第23章 じゃ、言わせてもらいます

松本視点

Ａ「ねー…なんで潤ちゃん…絵の事‥知ってるの？」
　相葉くんが小さい声で聞いてきた。


「ニノに聞いた…」
（トラブルがあったことはね…詳しくは知らないけど…）
ビールの入ったグラスもったまま返事をする。


Ａ「……そ、そうっか…」
　それ以上何も言わない相葉くん。




Ｎ「あの時は、本当にどうしようかと思いましたよ」
　ニノが宙を見ながら、思い出しながら言葉にしている。


Ｓ「そんなに？」
　翔さんが心配そうな目でニノを見ている。


　ニノの口が小さく尖がる。


Ｎ「小学生みたいなマー君とちいふと待ってたんですけど…」

Ｓ「うん」

Ｎ「ちいふの携帯に電話がかかって来て、翔さんが別行動になって…」


（声も、態度も…策士じゃなくなったなぁ…）


Ａ「大ちゃんが…ｽﾞｽﾞ…ゥン」
　相葉くんがやっと話に入ってきた。


「ちょっと、なに？泣いてるの？」
下を向いたままだから、顔を確認する。


　俺と目が合う前に相葉くんは、ゆっくり顔を上げる。


Ａ「だって、大ちゃんが…さ…あの時…」
　今にも溢れそうなウルウルの目で俺を見る相葉くん。


（相葉くん…ニノから話は聞いてたけど、相当　心にキテる…）


Ｎ「この人にマジ顔で『さわるな』って言われたら…」
　怒りに震える声でリーダーを指さすニノ。


Ｎ「誰だって凹みますよ」
　語尾がトーンダウンしていく。

　リーダーが両手を合わせて何度も何度も頭を縦に振って謝っている。



Ｓ「マジで『さわるな』っていわれたの？」
　翔さんはウルウルの相葉くん。怒って泣きそうなニノ。平謝りのリーダーと順番に見て、相葉くんの顔に戻る。


Ａ「う、うん…」
　涙声で返事をする相葉くん。


Ｓ「ひえぇぇ俺、立ち直れないかも！」
　頭を抱える翔さん。


（俺もだよ！！立ち直れない所か、再起不能かもよ…）


Ａ「しょぉちゃん…」
　ボロボロ泣き出す相葉くん。


Ｓ「よしよし」
　テーブル越しでも両手を伸ばして、相葉くんの頭をなぜる翔さん。


Ｎ「それで、あの『好き』になるんです」
　ニノが少し落ち着いた声で言う。


Ｓ「なるほど…」
　翔さんの心の声がこぼれる。

（ニノ…側にいなくてごめん…）