第23章 じゃ、言わせてもらいます
二宮視点
M「だから!その『違うので行く』って…リーダー?
飛行機は新幹線じゃないんだから、一本後で行くって無理なの分かってる?」
俺が言うべき言葉を、先に潤くんが言ってくれた。
O「分かってるよ。
でも…あの時は、そうしたかったんだ!」
バツの悪そうな顔をしている智さん。
(ホントに、分かってたの?)
車の中の智さんの顔を思い出す。
(絶対。アレは素だった。チーフが慌ててたもん)
「あの時は…本当に『どうしようか』と思いましたよ」
ちょっとオーバーかなぁっと思いながら、宙を見てみた。
S「そんなに?」
翔さんが心配そうな目で俺を見る。
「はぁ…」
(睨まれるのも嫌ですけど、その目で見られるのもイヤですねぇ…)
「小学生みたいなマー君とチーフと待ってたんですけど…」
S「うん」
真剣な目で俺の話を聞こうとしてくれる翔さん。
「ちいふの携帯に電話がかかって来て…翔さんが別行動になって…」
翔さんの顔を見ながら、状況を言葉にしていく。
A「大ちゃんが…ズズ…ゥン」
下を向いたままマー君が鼻をすすっている。
M「ちょっと、なに?泣いてるの?」
潤くんがマー君の顔を覗き込む。
A「だって、大ちゃんが…さ…あの時…」
顔を上げたマー君の目は、今にもあふれそうな位ウルウルしていた。
(ごめんね…思い出させて…でも、今は沈まないよね…
今から、あなたを泣かした人にお説教をされますから、見ててください!)
「この人に!マジ顔で『さわるな』って言われたら…」
智さんに人差し指を刺すように向ける。
「誰だって凹みますよ」
勢いがなくなるのが自分でも分かる。
(俺も…ヤバかったよ…マジで…)
智さんが両手を合わせて何度も頭を縦に振って謝っている。
S「マジで『さわるな』っていわれたの?」
立ったまま翔さんは、マー君。俺。智さんと順番に見て、マー君に戻ってきた。
A「うん…」
涙声で返事をするマー君。
S「ひえぇぇ俺、立ち直れないかも!」
頭を抱える翔さん。
(確かに、翔さんなら、壊れたかもね…まずないだろうけど…)