第18章 五人で前々夜祭
大野視点
M「前々夜祭をはじめよう!」
松潤が大きな声をあげる。
相葉ちゃんが勢いよく動き出した。
その動きをニノが心配そうに目で追っている。
(あ…二人には謝っていない…)
忘れたわけじゃない
日本で 出発直前に起こした、超わがままな“だだこね”の事
(チーフは許してくれた…
じゃ、二人は…
このままじゃ ダメだよね…
謝らないと、嫌われちゃう…)
二人は大事な大好きな人。
S「では、挨拶を」
翔くんがビールの入ったグラスを持ってる笑っている。
(乾杯か…)
グラスを受け取ったけど、そんな気分じゃない。
(謝るなら…早い方がいいよね…
〝宴〟で言っても…こっちに記憶が残らないし…)
「うーん…その前に」
グラスを一度テーブルに置く。
S「智くん?どうしたの?」
翔くんの声が聞こえたけど、今は「謝る事がある」そう言って、ニノの方を向く。
「まず、ニノ…」
N「私に?…」
首を傾げているニノ。
「うん。
昨日はごめんね。
なんかさ…翔ちゃん居るのに、いない感じがして…」
自分が感じていた事を言葉にしたけど、最後の方声が小さくなった。
N「…ここに居るよ。みんな居る…ね…」
ニノの優しい声が聞こえる。
「うん…」
ニノの顔を恐る恐るみる。
和也がニコッと笑ってくれた。
《和也…ごめんよ…色々ありすぎて…心が…弱って…不安で…
どうしようもなくて……》
N「それで…いいんです。私は、大丈夫ですよ」
ニノがおいらの肩に手をそっと置く。
和也の背後の幽霊が俺の耳元でしゃべりだした。
≪確かに、あんたは弱くなった。
でも『弱い』から、みんなが一緒にいれる。
今のアナタにとって翔さんの彼女ごとが一番 こたえる事でしょ?
“彼女”に取られるのが怖いんだよね?
でも、翔さんはちゃんと帰ってきた。
俺たちの翔ちゃんはここに居る!
この、幸せな時間が続く為には、離れなければいけない時間がある。
信じましょう。
どんなに離れていても、心がつながっている事を…≫
和也の“声”がおいらの心に響く。
《和也…和也にばっか…頼ってごめんよ》
小さくうなずく事しかできなかった。