第3章 それぞれ歩幅を…
松本視点
(今日の翔さん。白いジャケットかぁ…かっこいいなぁ)
翔さんと同行チームがいる所に車を寄せる。
外から誰かがドアの扉を開ける。
「お疲れ様!!」
一番に迎えた。
S「お疲れ様…です」
翔さんがゆっくり中に入って来る。
(です?)
てっきり、ハグしてくれると思っていたから、拍子抜けした。
S「あ!画伯調子はどうですか?」
翔さんが俺の横を通り、笑顔でリーダーに行く。
(やっぱ、リーダーが一番か…)
O「……うん、まーなんとか…」
リーダーが元気がない返事をする。
(抱きしめてあげてよ。それが一番の薬だから…)
S「二回目の個展!楽しみしてます。頑張ってくださいね」
かなりのキメ顔をリーダーに贈る翔さん。
(え…それ?)
S「ドールに滞在するのは15分?」
翔専属「はい。
観光客の人に迷惑かけれませんので。警備的に15分が限界です」
マネージャー両膝をついた状態でバランスを取って翔さんと話している。
S「そう…ドールの人や観光客のお客さんにご迷惑かけたらいけないな」
簡単な段取りを確認し始める翔さん。
(いきなり仕事の話…いやいや、違うでしょ!)
普段なら、バカみたいに、じゃれ合える車の中。
シートに座って膝を抱えて、リーダーを見た。
半開きの口、寂しそうな目のリーダー。
(唇が震えてる…我慢してるんだ…
そうだよね
俺たち仕事で来てるんだ…
きっちりやる事やって、夜ゆっくりしよう…)
S「思い出ショットは、コンサートの終盤に使う。だったね…松本さん?」
(え!ここで俺を“松本さん”って普通ぅ呼ぶ?)
慌てて体を起こす。
「そうだね。
後…ファンクラブの冊子にも提供するつもり…」
話しながら、翔さんの目を見る。
S「そうか…
松本さんの構想に添えるよう勤めるよ。
アングルやポーズはカメラマンにお任せして…」
翔さんはお構いなく話を続ける。
(ここは『そんなに見つめんなよ!』だろ?
ダメだ…完全にZEROだよ…)
ニノも気づいているから、声に出さないように合図を送る。
ニノが『ああ…』と口だけで返事をした。