第16章 キミがいるから…僕も…
S「嵐のお母さんって。俺一応男ね。もう変な日本語作らないでね。
あなたの発言は結構浸透するんですから…」
翔くんの漢字だらけの意見を背中で聞きながら、笑った。
「俺よりずっと、翔ちゃんの方が発信力あるよ」
クルッと振り向て翔くんにキメ顔で言ってやった。
S「そうじゃ…」
俺の言葉に反論しようと言葉を考えていただろう翔くんが一瞬で動かなくなった。
S「…ま…いいけど…」
翔くんが何か言ぉうと頑張っている。
(おいら知ってるんだ。
翔くんが俺の不意に向けるキメ顔や怒った顔の時、対応能力が落ちるの…)
S「早くしないと!吉桜くんが来るね!」
急ぎ足で廊下を歩き出す翔くん。
(でもって、顔を赤くして、逃げるんだ!
いつもの行動。楽しい♡こんな翔くんを見れるのも『嵐』の特権だよね)
見えない翔くんの顔を想像しながら、ついて行く。
部屋の前には誰かが立っていて「お疲れ様です」と教科書に乗っているようなお辞儀で俺たちにする。
S「わざわざゴメンね」
翔くんが手を振る。
「お呼びくださまして、嬉しいです!」
立っていた人は顔を上げて、笑顔になった。
(うん。新人専属の子だ)
事務所で顔見せと挨拶を聞いた気がする。
S「智くん洗濯物貸して?袋に入れて、俺の分の洗濯物取って来るから」
返事をする間も与えないから、小さくうなづいて洗濯物を渡す。
翔くんが俺の洗濯物を持って部屋に入って行った。
廊下に残った俺たち二人。
特に話す内容もないから、二人は黙っていた。
「あ、あの…」
沈黙を破って話しかけてきた翔くんの専属。
「なに?」
話しかけられたから、返事をした。
吉桜「先日ご挨拶しましたが、吉桜 晃樹(きちざくら こうき)です。よろしくお願いします」
お辞儀をした後、すっと握手を求めてきた。
(あ、態度が翔くんに似ている…これが、普通なのかな…)
「あ うん。大野智です」
握手をした。
吉桜「知ってます…あなたのダンスと歌…大好きです」
吉桜くんがジッーーっと俺を見つめる。
「ありがとう」
(そんなに見つめられると、照れる…)