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虹と花とキミ達と 1 《気象系》

第3章 それぞれ歩幅を…


櫻井視点

(取材が終わった…この取材をどう編集するんだろう…)
パールハーバーの近くでメンバーの乗った車を待っている。

翔専属「車きました」
 今回初めて俺の専属になったマネージャーが走ってきた。

吉桜 晃樹(きちざくら こうき)
 ジュニアに数ヵ月在籍していた子、事務所に就職してマネージャー見習いをしていた。

 待ち合わせの場所に黒いベンツのバンが横づけされている。
車種はメルセデス・ベンツの“ヴィトー”が用意されていた。



翔専属「ドア開けます」
 ヴィトーのスライドドアを開ける吉桜。

(みんなに会える…)
車内に入る前に、ふーっと息を整える。

 ゆっくり中に入ると「お疲れ様」っと笑顔の潤が迎えてくれた。

(潤!)
抱き付きたいのをグッと我慢する。


(いまは、我慢だ…)
「お疲れ様…です」
営業用の顔でその場をしのぐ。


 ニノの痛いぐらいの視線を感じる。

 お疲れ顔の智くんがこっちを見ている。

「あ!画伯 調子はどうですか?」
ニノからも逃げれるし少しでも近くに居たい気持ちで、智くんの近くに行く。


O「……うん、まーなんとか…」
 智くんの返事が歯切れが悪い。

(産みの苦しみ…なのかなぁ…
 一緒にいた方が良かった…かも…

 でも、ご機嫌は俺が取らないと…また…)


「二回目の個展!楽しみしてます。頑張ってくださいね」
かなりのキメ顔を智くんに向ける。

(今はこの笑顔で許して、じゃないと、俺が崩れる…

 今は、仕事しよう…仕事の事考えよう)


 車が動き出した。


「ドールに滞在するのは15分?」
シートベルトを締め、吉桜くんにスケジュールを聞く。

翔専属「はい。
  観光客の人に迷惑かけれませんので、
  警備的に15分が限界」
 吉桜くんは、両膝をついた状態でバランスをとっている。


「そう…ドールのお客さんにご迷惑かけたらいけないな…」

(時間の確認…コンサートの段取りの確認…)

「思い出ショットは、コンサートの終盤に使う。
 だったね…松本さん?」


 潤は体を起こして、俺の方を向く。


M「そうだね。
  後…ファンクラブの冊子にも提供するつもり…」
 潤が、ジーッと俺を見ている。

「そうか…松本さんの構想に添えるよう勤めるよ」
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