第16章 キミがいるから…僕も…
大野視点
「翔くん?」
シャワーからでると、ニコニコの翔くんが立っていた。
(本当に待っていたの?)
S「なに?」
近づいてきた。
「みんな…待たせてるの?」
(また、俺まち?)
S「ううん。俺もさっきまで自分の部屋にいたんだよ」
翔くんが優しく言ってくれた。
その翔くんに近づく何かを感じる。
S「なに?」
翔くんが何かに向かって声を出す。
「どうしたの?」
翔くんが声を出したから一応 聞く。
S「あ!
ううん。何でもないよ」
困った顔をして手をブンブンふる。
(またそうやって、自分だけで…
おいらにだけは…教えてくれてもいいのに…)
ちょっと寂しい気持ちがあるけど“兄”は“弟”の秘密をほじくらないモノだと、友達に教えてもらった事がある。
(だから、翔くんから話が出るまで、聞かないよ。
約束したよね。
話せるようになったら、ちゃんと話すって…)
着替えた服を鞄にいれようとベッドまで来た。
(あれ?鞄が閉まっている…閉めたかな?)
鞄を開けると、自分が詰め込んだ物が整然と詰まっていた。
(確認…されたのか…)
チーム嵐のスタッフっというか、ほぼほぼメンバーがあの日の事をずっと気にしている。
(あの日はちょっと、精神的におかしかったんだよ…
もうアンナ事はしない…
だって…思い出したんだもん。
とおぉぉい昔の約束。
いつか行きたいね。五人であの下で…)
S「智くん?大丈夫?」
翔くんの心配そうな声が聞こえた。
顔を上げると翔くんの顔のアップが見えた。
ビックリしたけど「ん?何が?」と答える
S「いや…動かなくなったから…のぼせたのかなって……」
翔くんの方が困った顔をした。
「シャワー位でのぼせないよ…もう。翔ちゃんは心配性だね」
鞄を勢いよく開けて、さっきまで着ていた服を突っ込んだ。
S「あ!もうまた、洗濯しないで鞄に戻す!」
「いいじゃん。少ないから洗えないし…あちこち置いてると、わかんなくなるし」
S「じゃ?一緒に洗う?」
「いいの?」
S「いいよ。俺も洗濯ちょっと躊躇してて…」
「じゃ。一緒にお願いする」
鞄からきていた服を出し始める。
S「了解」
翔くんがポケットから携帯を出してどこかにかけ始めた。