第16章 キミがいるから…僕も…
大野視点
(いつも ありがとう)
翔くんに変に思われたくないから、声にならないように気を付けて、口を動かす。
いつもの おいらからしたら、ものすごく変わった事をした気がする。
ちょっと恥ずかしくなって、バスルームに逃げこんだ。
(ふー翔くんに変に思われなかったかな?)
鏡に映る自分を見る。
部屋に残してきた翔くんを思いだす。
少し髪が濡れていた
(翔くんが待っているから…)
服を素早く脱いでシャワーを浴び始める。
ぬるめに設定したつまりだけど、少し熱い気がする。
(冷えていたんだ…)
リハ終わって、外に出ていた自分を行動を少し後悔した。
(はーやらかしたな…)
不安そうな翔くんの目を思いだす。
(そりゃ…心配されるよねぇ…
メンバーがおいらと同じことしたら… …
あんなに優しく手を摩ってあげれただろうか…)
お湯が絶え間なく流れる手を見ている。
(おいらはいつも…みんなを…)
シャワーを浴びているのに、体が冷たくなる。
《ドウ…どうしたら…
翔…くんヲ…めんばーヲ…
マモレるノ?守ってikeルノォ…darekaおしエテ…》
{oono oko…anata ga mayoeba mina ga mayou…}
《mati…》
S「智くぅん?のぼせてなーい?」
バスルームの扉の向こうから心配そうな翔くんの声が聞こえる。
(翔…くんの声! 返事しなきゃ!!)
一気に体が温かくなる。
「もう出るよ!」
心配させないように、大きい声で返事をする。
翔くんの返事はない。それは、安心した証拠。
バスルームの扉を見ながら気持ちが溢れる。
(おいらは『嵐』の兄ちゃんだ!気合い入れなきゃ!)
{{それが答えか?}}
〝冷たい声〟が再び聞こえてきた。
「…おいらも『嵐』なんだよ!」
頭から勢いよくシャワーを浴びていて、周りは見ないようにした。
冷たい声の存在が無くなったのを感じてからキュッとシャワーを止めた。
(翔くん。おいら頑張るから……
オイラが生きている証なんだから…)