第12章 見かたが違うと…
二宮視点
キュッ
シャワーのコックを止める。
汗は流せた。
(気になる…)
気分はモヤモヤしている。
そっと、バスルームの扉を開け相葉さんを確認する。
(さっきより、はっきり英語喋ってる…)
なぜか‘まーくん’っと呼ぶ気分じゃない
(相葉さん…
ここは決まった人しか入れない。はず…
じゃ、事務所が許す人…?)
{カズナリ…濡れたままだと、風邪をひくぞ}
“理解者”の声で、体を拭いていない事に気づく。
≪はは、どうして、こんな事してるんだろうな……はは…≫
自分の体を見て、笑った。
なぜ笑ったのか自分でも分からないから、また笑った。
ホテルの綺麗なバスタオルで体を拭き、用意していた服に着替える。
そして、扉を少し開けて、相葉さんを確認する。
{どうした?出ないのか?}
≪……出にくい≫
{マーの行動が気になるのなら、情報はあるぞ。聞くか?}
“理解者”の情報は状況を正確に教えてくれる。
知りたくない情報だってあった…
でも、なんだろう…
こんなに、
聞きたくて聞きたくない気持ちは…
≪…………聞く≫
{マー は先程から、ルームサービスを呼ぶための電話の会話を練習している。
結果は“残念”の言葉しかない}
・・・・・・・・・・・・
「聞かなきゃよかった…」
ため息と共にリアルな言葉も口から零れる。
そして、体が小刻みに揺れ始める。
{嵐に問題になる事か?}
≪いや…俺の問題だ。
聞いておいて良かったの…かも…しれない。
俺の勘違いで…危うく火傷を‥‥いや
男二宮の死亡宣告をしていたかもしれない…≫
扉の前で体育座りをして、気持ちを落ち着かせる。
{この時代は世知辛いモノだ…}
ズゥズゥ
スマホのバイブが聞こえる。
表示は浜地と書いてあった。
「はい」
浜地「料理が届きました」
(はや!もう来たの…
俺そんなにここにいたのか…)
「今どこ?」
浜地「エレベーター前です」
「相葉氏の部屋の前まで持ってきて、もう部屋出るから…」
浜地「…分かりました」