第12章 見かたが違うと…
二宮視点
シャワーを勢いよく出して、音を響かす。
「なんだよ。今の目…」
心臓がバカみたいに速い
そっと扉を開けて、マー君の様子をうかがう。
ソフェに座ったまま動いていない。
角度的に見えにくいから、理解者を呼んだ。
≪マーは何している?≫
{ブツブツ練習している}
≪練習?なんのだ?
声が聴きたい。
シャワーの 音下げて、マーの音 量上げて≫
{了解した}
俺の耳の音響調整が理解者によって変更され、マー君の声がだんだん聞こえてきた。
A「…ださい…
……
ぷリーズ…コむ…ツウぅザルームぅ?」
(英語?プリーズ?コムザルーム?
Please come to the room!!!)
バン!
慌てて勢いよく扉を閉めた。
A「カズ!」
マー君が声を近づいて来る。
(しまった!!)
慌てて、バスタブに逃げ込む。
{どうした?問題か?}
理解者が光の粒となって俺の周りに集まる。
≪なんでもない!マーの音量‥普通に戻してくれ…頼む…≫
{了解した}
A「ねーカズ!!」
マー君の心配そうな声が扉越しに聞こえる。
「はい!」
驚いた俺は、声が裏返る。
A「どうしたの?今すごい音がしたよ?」
扉越しのマー君の声。
「あ!えっと、扉が勝手に空きそうになったから、足蹴りしたよ?」
バスタブからゆっくり出て、扉の方に近づく。
A「足蹴り?そうか…ケガしたんじゃないんだね?」
「ケガ?してない!してないよ」
A「よかった。じゃ、ごゆっくり…」
マー君の気配が離れていく。
「はー…心臓が、壊れそうだ…」
洗面台に片手を付いて大きく息を吐く。
(マー君…誰を部屋に呼ぶつもりなんだ…
てか、ここ俺の部屋だぞ?)
頭の中に出てくる疑問に答えが出ないまま、次の疑問が出てくる。
「くー!シャワー浴びよう!!」
頭をガシガシかきながら、ジャワーのヘッドを掴む。
ちょっと熱めのお湯を頭からかぶる。
「う゛」
鈍い痛みに似た熱さの刺激で少しだけ冷静になれた。
(このまま…メシ頼んでも食べれないかもなぁ…浜地に頼もう)
シャワーを止め、浜地に向けてコールをする。