第10章 宿泊ホテルに到着
櫻井視点
「痛いよ!
わかってるから、荷物部屋に入れるよ!」
廊下にあるカバンを持つと、カードを扉に向ける。
解錠の音が小さく聞こえた。
N「シャワーくらい浴びてきてくださいよ」
ニノが笑いながら言う。
「はいはい。さっぱりして行きますぅ」
少し、お道化て返事をしてみた。
A「松潤には、集合のこと言っとくから!色々?流してきてぇ」
雅紀がヒラヒラ手を振る。
「よろしく頼むよ」
雅紀に手を振って、部屋に入る。
「あー疲れた…」
鞄を無造作にベッド下に置くと、ソファーに座り込んだ。
一気に緊張が抜けていく。
(お腹…空いた…)
ポケットからスマホを取って吉桜に電話する。
吉桜「はい」
ワンコールで電話に出る吉桜。
「相葉くんの部屋でみんなでご飯食べるからさ。それなりに食べれる量とお酒のつまみになるような物。頼んでおいてくれないか?」
吉桜「分かりました」
スマホをテーブルの上に置く。
「パパッと浴びましょうぉ!
それから、みんなで何かつまみながら、お酒飲みましょ!」
誰もいないのに、誰かに話すように話しながらシャワーに入る。
少し熱めのシャワーで浴槽を温める。
「汗かいたなぁ洗濯しないとまずいかな?」
温度調整をしながら、ブツブツ呟く。
「でもなぁ。一日分で回すには、少ないよなぁ…」
脱ぎ捨てた服を洗濯ネットに押し込む。
洗面台の花瓶にハイビスカスの花が一輪活けてあった。
(ハワイの精霊様にもらった『花』はどこ行ったんだろう…)
聖地で確かに手の中にあった。
嵐の俺色のハイビスカス。
いつの間にか見当たらなくなっていた。
(リハーサル中はさすがに気にならなかったけど…
誰にも聞けなかった…
聖地の記憶があまりにも曖昧なんだよな…)
シャワーを浴びて、タオルで体をふいて、鏡の前を通ると、
洗ったばかりの髪に 真っ赤なハイビスカスの花が髪飾りの様に刺さっていた。
「あ!」
急いで頭を触ると、確かにそこに花がある。
「ここにあったんだ!」
触れるけど、取る事の出来ない花の髪飾り。
「みんなもかな?」
無性に皆に会いたくなった。
「よし!雅紀の部屋行こう!」
そのまま寝てもいいように部屋着に着替えて、雅紀の部屋に向かう。