第3章 彼の正体は?
彼が言ったように寝ようとしたが
主の居ない家で眠れるわけでもなく
彼が付けっぱなしにしていた
テレビを見ながらリビングで
ぼーと過ごしていた
ぼーとしながら周りをゆっくりと見渡すと
男の一人暮らしなので
家具はシンプルにまとめられているし
良いモノを使っている気がした
「やっぱ・・・
お金持ちなんだろなぁ・・・・」
私はため息をつきながら言った
ある所にはお金はあるものだ・・・・
どんなに働いても
私は苦しかったのに・・・
私は自分の事を思い出していた
私が彼と過ごしていた部屋は
安い小さいアパートだった
そして
安いモノを
ごちゃごちゃと置いて暮らしていた
でも、その部屋には
別の人と暮らしている
私はいったい
何をしてたんだろっと思った
「世の中は不公平だよなぁ・・・」
私は知らずに愚痴っていた
そして無償に悔しくなっていた
私が頑張って守ってきた
幸せを奪われて
そして
見も知らずの男の家に転がり込んでいる
なんだ、この人生は・・・・
不公平すぎる・・・
この広い部屋で一人過ごしていて
何するわけでもなかった
テレビも面白くなかったから消すと
部屋に時計の針の音だけが響き始めた
その音に導かれるように
時計を見た
「しかし、遅いよねぇ・・・
もう朝になるのに・・・」
時間を見て私は驚いていた
そして明るくなってくる
窓をぼんやり見た
こんな時間まで飲むものだろうか?
もしかしたら彼女かも?
彼、男前だったし・・・
かなりモテそうだし・・・
あれは
彼女からの急な呼び出しだったのかも
まぁ・・・
あんな時間から
普通は飲みに行かないだろうし
私は勝手な考えを想像していた