第20章 休日 【ショッピング】
店から出て来た彼は
買って来た服を渡すと言ったのだ
横山「来月から少し引く
それか・・・・
アンタの仕事が決まってからでもええし」
その言葉に
焦りながら頭を下げて
受け取った
「か、必ず払いますので」
横山「おん、ほんなら次に行くで!」
そう言うと私の背中を軽く押して
歩けという合図を送った
私の方は彼に言われる通りに歩き
足が止まると
彼が服を買って来る事を
繰り返し続けたのだ
何件もそれを繰り返したので
私だけでは持てなくなり
駐車場に戻る時には
彼も一緒に持っている
状態になっていたのだ
私の買った服を
彼は後ろの座席に入れながら
私に言ってきたのだ
横山「この服を見て
誰と誰が合へんやって?」
その言葉に一緒に後ろの座席に
入れていた私は驚いて彼を見た
見つめている私に彼は意地悪な顔をしながら
横山「ちょっとした事で
合う合わんを決めてたら
大事なもんも見えんくなるで」
私はその言葉を聞いて胸が熱くなりながら
彼を見つめ続けていた
そんな私に彼は話しを続けた
横山「やり方を変えたら
そんなに服が見つかるやろ?」
「そうですね・・・・」
私は積んでいる荷物を見て言った
横山「何でも簡単に決めたら
負けやちゃうか?」
その言葉が私の胸に刺さっていた
「負けですか・・・・」
私の呟きに彼は微笑むと
自分の荷物を積み終えて
運転席に乗り込んだ
私も彼を待たすわけにはいかなので
急いで積み終わらせて
助手席に慌てて座ると
横山「もう無理や死なんとアカンとか
思い込んでたらさぁ
幸せは見えんちゅうことや
どうな状況でもさ生きてるヤツが
この世では勝ちやと俺は思ってる」
そう私に告げ
彼はエンジンをかけた
私は彼がくれた言葉を
胸に刻みながら考えていた
私にそれを教える為に
自分の所に
連れて来てくれたのではないか?
ちゃんと未来を
見えるように
してくれているのではないかと・・・・
隣で黙って運転している彼を見つめながら
胸が熱くなり続けていたのだった