第20章 休日 【ショッピング】
立ち上がった彼に驚いると
彼は優しい声で私に言った
横山「今度は、アンタが前を歩いてや」
「えっ、私が先にですか?」
訳が分からずに驚いている私に
彼は話を続けた
横山「アンタが気に入ったヤツを
俺に言ってくれんか?」
「私が選ぶって事ですか?」
私の言葉に彼は頷くと
顎で私を先に行けと合図した
さっきの買い物と違ったのは
彼の姿が私の目からは見えなかった
だけど何故か
近くにいる安心感が
私の中に生まれていたのだ
私は歩いていると
自分の好きそうな服が
目に入り足を止めた
すると後ろから彼の声が聞こえてきた
横山「どれや?」
彼の声に導かれるように
気に入った服をそっと手にして教えた
「ええんちゃうん?
似合うと思うで」
その言葉に
何故か私は嬉しくなって微笑んでいた
横山「サイズはそれでええん?」
「あっ、これですね・・・」
私はサイズのタグを見て返事すると
彼は見ていた服を私から取ると
店の中を歩いて行ってしまったのだ
「えっ?」
彼の行動に驚いて追いかけると
彼は支払いを済ませようと
店員さんに渡したのだ
「あっ、あのぉ・・・
お金は!」
私が焦って言うと
彼は掌を私に見せた
その姿に私は店の外に下がったのだ
今の合図はバレるからって悟ったからだ