第20章 休日 【ショッピング】
彼は、準備の出来た私を強引に車に乗せ
1時間ほど車を走らせると
少し離れた場所にある
大型ショッピングモールに連れて来てくれた
駐車場に車を停めると
彼は自分の持ってきた鞄から
マスクと帽子を突然
取り出すと自分につけ変装を始めたのだ
その姿を見て私は
やっぱり芸能人だからバレたらダメだし
自分と一緒の所も見つかったらダメだから
どうしようと内心は焦っていると
横山「ほれ、これはお前のやで」
そう言うと
私にも別の帽子を渡したのだ
「えっ?」
私が驚きながら受け取ると
彼は帽子の下から
真剣な目つきで
横山「目深にかぶっといてな
アンタまでマスクしたら
怪しいから、それはええわ」
そう言うと
準備をしている私に気にする事無く
車から出たのだった
私の方は彼の言われた通りに
帽子を急いで深めにかぶり
彼を追いかけるように車を出た
彼は私の前を
少し早めに歩いていたが
時々、私を気にするように
軽く振り返りながら歩いてくれた
私たちは決して一緒と思われたにように
距離を保ち、エレベーターの中でさえ
離れた位置に立っていた
私の前を颯爽と歩く
背の高い彼の背中を見て
この離れた距離が
自分たちの距離で
決して近づく事がない距離を
少し切なく感じていた