第19章 休日 【痛み】
真剣な顔で私を見つめ
横山「あんた、今着てるのと
もう一着しか持ってないんか?」
その言葉に私は顔を赤らめ
「そ、そのぉ・・・・
簡単な荷物で
私は家を追い出されたんです・・・」
彼は初めての話に驚いた顔をした
横山「そうなんや」
そして彼が
申し訳なさそうな顔をしていたから
私は、ちゃんと説明しようと思った
「何着か持っていたのですが
お金がなくなったので
売って過ごしていたんです」
私は、その時の事を思い出していた
誰も自分を助けてはくれなかった
何にも信じられない毎日だった
思い出して涙が出そうになった
するとまだ少し鼻の赤い彼が
箸を置くと突然、言ったのだ
横山「よし、飯を食ったら
買い物に行くか!」
「えっ?」
驚いている私に彼は
得意げな顔をしながら
横山「それだけやったら困るやろ?
面接とかさ・・・」
「でも・・・・」
私としては
色んな事を考えて困ってしまっていた
そんな私を無視して彼は
横山「ほら、買いに行くで!
早く食べろや!」
彼は私を急き立てた
だから私は正直に言ったのだ
「その、お金が・・・・」
私は、彼から貰ったお金を
無駄にしたくなかったのだ
今の自分は家政婦として
ちゃんと働いているとは思えなかったし
いつ追い出されても
おかしくない状態だったから
少しでもお金は蓄えていたかったのだ
今まで苦労して辛い思いをしてきたから
そんな私の気持ちを知らない彼は
横山「俺がOFFの時しかさぁ
行かれんねんから
早よ食べて行くで」
そう言うと急いで食べ始めたのだ
強引な彼を見て
私は何も言えずにいた
まぁ・・・・
彼の言葉に甘えて
面接の時の服だけでも買っておくか
私はそう思うと
昼食をまた食べ始めたのだった
そして、彼と一緒に出掛けられるという
嬉しさもあったので
胸が弾むのを抑える事は出来きず
楽しい時間、思い出になるようにっと
願っていたのだった