第10章 ルール
彼の姿を見た私は
コーヒーを入れる為にキッチンに向かった
彼はキッチンに立っている私を見て
横山「朝から、すまんかったな」
恥ずかしそうに謝ってきたので
私は入れたコーヒーを持って行きながら
「いえ、私も大声を出してしまって・・
すいませんでした」
そう謝ると
彼の座る前のコーヒーを置いた
お互いに何と言っていいか分からず
気まずかった
とにかく恥ずかしかったのだ
私の脳裏には
さっきの彼がチラチラと侵入していたから
気まずい時間が二人の中に流れ
彼がコーヒーを口にする音だけが響いていた
そんな彼に私は思い切って声を掛けた
「私、今日は職安に
行って来ようと思ってるんです」
私の言葉を聞いて
彼は私の方に目線を向けた
横山「そうなんや、頑張ってな」
私は彼の言葉に頷きながら
自分の考えを伝える事にしたのだ
「それで、見つからなかったら
バイトしてでも
お金を作りますので」
横山「おん、好きにしたらええよ
でも慌てる必要はないからな」
私は、彼の言葉に軽く頭を下げた
横山「今日、俺の方は
ご飯を食べて来るから
ゆっくりとしたらええで」
「あ、ありがとうございます」
私は頭を下げながら
キッチンに戻り
キッチンの掃除をする事にした
職安に行く前に
掃除だけは終わらしてたかったのだ
床を拭いている私の背後に人影を感じ
驚いて振り向くと
彼が黙って立っていたのだ
「ど、どうしたんですか?」
私は驚いて彼に問いかけたが
彼は静かに私を見ているだけだった
「あ、あのぉ・・・
掃除の仕方が間違ってますか?」
私は急に不安になっていた
拭いていた雑巾を見て
また、
私は失敗したのだと感じた
すると
彼はゆっくりと言った
横山「・・・・・ほんまに
ごめんな・・・」
私はその言葉に驚いて彼を見た