第8章 鍵
切れたスマホを横に置いて
目の前の大量の鍵を見ていた
一本、一本を持って行って
鍵穴に入れるか?
嫌々、かなり怪しすぎる・・・
誰かに変に思われたら
彼に迷惑をかけてしまう・・・・
私は静かに引き出しを直した
そして、ため息をつきながら
リビングのソファーに腰を下ろした
そして今日の買い物も諦めようと
決めたのだった
そして夕方を過ぎた頃だった
私がリビングでくつろいでいた時に
玄関の扉が突然に開き
大きな足音がリビングに近づいて来た
私は驚いて
ソファーの後ろに隠れた
誰が来たのか怖かったのだ
その音はリビングに入って来た
私はソファーに隠れながら
そっと見た
入って来たのは彼で
扉の所に立ち
キョロキョロと何かを
探しているようだった
そしてソファーの後ろに隠れている
私を見付けると
横山「そこで、なにしとるん?」
驚きながら言う彼に
私は恥ずかしくなり顔を真っ赤にした
「そ、その泥棒かと思って・・・」
私の言葉を聞いて
彼は笑いながら
横山「悪いな・・・
俺、急いでたからさ」
そう言うと私に手を付き出した
驚いている私の目の前に
鍵があった
横山「作って来たんや」
「あっ、す、すいません・・・」
私は驚きながら受け取った
すると彼は
急いで部屋を出て行きながら
私に言った
横山「俺、まだ仕事があるから
戻るから、後は頼むで」
そう言うとまた
急いで出て行ってしまったのだ
私はその姿を唖然と見ていたのだ
彼が出て行って
静かな部屋に残されて
手のひらに残された鍵を見て
私は微笑んでいた
仕事中なのに
わざわざ作りに行って
持ってきてくれたんだ
超ド級の優しい人なんだと
私は鍵を見ながら微笑んでいたのだ