第8章 鍵
私は焦りながら
電話した理由を説明をしようと
『実は、出かけようと思ったんですが
私、鍵を持ってなくって・・・』
それだけ言うと黙った
しかし待っても
彼からの返事が来なかった
電話の向こうでは
ガヤガヤしている音が
聞こえているだけだった
忙しいのかなと思って待っていたが
いくら待っても返事が来ない
私の耳には
誰かの笑い声とふざけている声が聞こえた
『あのぉ・・・・』
私が不安になって声を掛けると
横山『悪い悪い・・・
何の話やっけ?』
彼は惚けるように言ったのだ
私は驚いたが
深呼吸をして気持ちを落ち着けると
『あのぉ・・・
私、鍵を持ってないから
買い物に行けないんです』
私の言葉を聞きながら
彼は誰かに
声をかけているのが聞こえていた
『あのぉ、お忙しかったら
また、後でかけますが・・・・』
その私の言葉を聞いて
彼は急いで返事をしてきた
横山『鍵な、キッチンの所の
左の棚の一番下にあるねんけど
分かるか?』
彼は簡潔に答えた
『ありがとうございます・・・
探してみます』
私が言うと
横山『見てみて・・・
あるか確認して』
彼の言葉を聞いて
私は急いで動いた
『ちょ、ちょっと待ってて下さい』
横山『おん・・・・』
耳に当てているスマホから
彼が誰かと話して
笑っている声が聞こえていた
きっと何かの用事中に
電話をして来たのだろうと察し
急いで探そうと焦っていた