第5章 家政婦
その姿に彼は驚いた顔を見せた
私は彼を見つめると静かに言った
「これを食べたら
私は、出て行きますので」
私の言葉に彼は
一層驚いたようで
横山「なんでや?」
真剣な顔で私を見つめる彼に
自分の気持ちを伝える事にした
「本来なら
こんな奴は
のたれ死んでいい奴です
それを甘えてしまって・・・」
その言葉に彼は黙って聞いていた
「アイドルの方と知って
余計に迷惑をかけてしまうので
出て行きます・・・
このお弁当代も
必ず返しに来ますので・・・」
私は深々と頭を下げた
今までの感謝の気持ちを込めて
すると黙って聞いていた彼が
横山「俺の所を出て
行くあてでもあるん?」
その言葉に私は固まってしまった
天涯孤独の私に行くあてなど無い
その姿を彼は見ると
小さくため息をつくと優しく言った
横山「死なれたら
ほんまに困る・・・」
そう言うと
またビールを口にした
「でも・・・・
お互い何の関係ないですよね?」
私が寂しそうに言うと
彼は私の顔を見つめ
横山「やけど・・・
死ぬところ俺は見てもうたし」
私はその言葉を聞き
彼を睨みつけながら
「それだけで・・・・」
私はこの複雑な気持ちを
整理出来ずに
言葉を言えずに俯いた
あの時に
たまたま通りかかってしまった事で
私を背負い込んでしまった
彼の不幸を考えてしまったのだ
すると彼は
横山「深く考えんでええんちゃう?
俺がアンタを発見したのは
何かの意味があるかもやし」
そう言うと
残っていたビールを飲みほした