第5章 運命の瞬間
〈心中は〜2人なら〜できる〜♪〉
突然、太宰の携帯から着信音が響いた。(お世辞にも良い趣味とは言い難かった)
「もしもし?織田作?どうしたの?」
太宰の笑顔は話すにつれて真剣なものへと変わる。
「わかった。」
「何かありましたか?」
「織田作がなにか掴んだ。でも、身が危ない」
それを聞いてくるみは急いで走り出した。太宰があとから彼女を追う。
「くるみちゃん。なんで織田作がこっちにいるって知ってるの?」
「え…?」
「だって私、1度も織田作がどこにいるかなんて教えてないでしょ?」
「あ……」
何故、だろうか。
あれ?
でも、私確信して走ってる…
そうだ、声が聞こえたんだ。
【織田作は北西の裏路地に向かったのか…】
という独り言のようなつぶやきが。
なんだろう…