第4章 マフィアでの生活
『皆さん、お昼の時刻です。本日食堂では、首領のご令嬢がお作りになったクッキーを販売しております。ぜひお越しください』
社内放送が流れると、太宰が腕時計を確認する。
時刻は一時をまわったところだった。
「もうこんな時間か…二人とも、お昼どうするの?」
「えっと…」
私が口ごもると、太宰は云った。
「なら、私と食べないかい?まずは食堂のご飯、食べてみたいだろう?」
「あ、そうします!!」
そうして食堂に行くと、織田作がカレーライスを食べていた。
太宰は織田作のテーブルへと進んでいく。
「やぁ、君が食堂で食事なんて珍しいね!」
「いつもの店が、今日は休みなんだ。」
「そっかー。一緒にいい?」
「ああ」
そうして、太宰が頼んだ定食を食べることになった。
しばらくの間皆無言で箸を動かしていたが、ふと芥川が箸を止めた。
まだご飯は半分ほど残っている。
「ん?どうしたの?」
太宰に聞かれ芥川は云う。
「僕は、少食故に」
太宰はそれを聞くと、顔をしかめた。
「あーあ。ダメだよそんなんじゃ。だからそんなに細いんでしょ?食べなきゃ強くなんないよ!!」
同時に太宰は、自分の茶碗の白飯を芥川の茶碗に盛った。
「なっ!?」
「全部食べないと容赦しないよー?」
太宰は楽しそうに芥川を観察している。
すると、織田作も自分が頼んだ甘味を芥川に差し出した。
「これもやる」
「えっ…と?」
芥川が助けを求めるようにくるみを見る。
くるみは、それがなかなか面白かったので、こう云った。
「私の分もあげるね」
芥川がうらめがましく一同を見回していた。