第4章 マフィアでの生活
「おはよう!芥川くん、くるみちゃん!!」
弾けるような太宰の声に、一瞬たじろぎながらもくるみは声を出した。
「お、おはようございます!」
芥川は何も云わないまま、じっと太宰を見つめていた。
太宰はそんな彼を一瞥すると、
「芥川くん。私が君たちだけを此処に呼んだ理由がわかるかい?」
と聞いた。
「検討もつかぬ」
芥川は表情を崩さずに答える。
「そっかー。まぁ仕方ないよね。じゃあ質問の仕方を変えよう。君って何しに此処に来たの?」
くるみは太宰の声のトーンがわずかに低くなったことに気づいた。
芥川もそれを感じ取ったのか。黙ったまま太宰を見つめる。
織田作はそっと地下牢から出て行った。
「返答は無しか…」
太宰はつぶやくと、芥川へと近づいてきた。
そして…
唐突に芥川の右頬を殴った。
「何を…!?」
よろめいた芥川がつぶやくと、太宰は打ち切るように言い放つ。
「私は君がすべきことは何かを聞いているのだよ!芥川くん。君の仕事はこんなところで人形みたいに突っ立っていることかい?」
「…」
「どうなんだ!?!」
太宰が叫ぶ。
芥川がしたいこと…それは…
「違う…僕のしたいことは…
力を手に入れること…!!そしてーー」
あいつを…守ること…!!
それは言葉にはならなかった。
芥川の瞳に映るくるみは、ほっとしたように頷いていた。
「ならば良い」
太宰は芥川を真正面から見た。
「覚悟は決まったね?」