第4章 マフィアでの生活
【次の日】
芥川とくるみが出勤すると、昨日の見張りの男が近づいてきた。
「芥川と乾だな?」
芥川が頷いた。
「いかにも」
「私は織田作之助。太宰に二人を呼んで来いと言われた。ついてこい」
芥川と私は顔を見合わせた。
彼はゆっくりと織田作の方へ首をかしげると、颯爽と歩き出した。
私も急いで、あとを追う。
織田作の歩くペースはなかなか速く、十五分がたった頃には、くるみは息を切らしていた。織田作はどうやら地下に向かっているらしい。どんどん階段を下っていく。
周りから人がいなくなり、それでもなお、薄暗い階段を下り続ける。すると、暗いコンクリートのドアが見えた。
織田作が、ドアを開ける。
「失礼します」
「やぁやぁやぁ、遅かったじゃないか」
ドアの向こうは、なにやら淀んだ空気だった。
さっと辺りを見回すと、壁についた鎖や薄汚れた牢が見られる。
かすかに汚れているコンクリートの床は血の跡だろうか…。
そんな暗い雰囲気とは対照的に笑みを浮かべた太宰が、ドアの前に立っていた。