第12章 未来からの落とし物/徳川家康
「はあー」
(苛々する……)
「どうしたの?溜息なんてついて」
「……なんでもない」
凛と一緒の部屋にいても苛々がおさまらない。
そんな俺を心配して凛が俺の顔をのぞき込んできた。
「具合でも悪いの?」
俺のおでこに自分のおでこをくっつけてくる凛。
「ん-? 熱はないみたい……」
能天気に俺の熱をはかってくる凛にも、ちょっと苛ついてくる。
そもそも凛が仲良く三成なんかと話をしていたから俺は嫉妬して苛々してるわけだし
(まあ、八つ当たりだとは分かっているけどさ)
「家康……?」
「凛……そんなに顔を近づけて__俺とくちづけ……したいの?」
嫉妬してるのが知られたくなくて、誤魔化すようにわざと艶っぽく凛に接してみると
「え?……あ……!!」
離れようとするから後頭部を押さえて、鼻先をくっつけるとみるみると頬を染めていく
(面白い……)
「ちょっ……近いって……」
「……あんたから近づいたくせに」
「だって……そんなつもりじゃなくてっ……キスとか……そんなの期待してるわけじゃなくて」
「きす?……きすって……なに?」
本当はきすの言葉の意味は知ってるけど、わざと聞いてあげるよ
「キスは……そのっ……」
「……なに?」
「っ……」
「俺に教えてよ……」
親指で唇をなぞっていくと凛の瞳が潤みだして……俺を煽ってるの?